ジャンル 文学の心

早稲田校

松本清張を読む

  • 春講座

高橋 敏夫(早稲田大学名誉教授、文芸評論家)

曜日 火曜日
時間 13:10~14:40
日程 全5回 ・05月14日 ~ 06月11日
(日程詳細)
05/14, 05/21, 05/28, 06/04, 06/11
コード 110156
定員 40名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 14,850
ビジター価格 受講料 ¥ 17,077

目標

・松本清張が創出した社会派ミステリーの意義をたしかめる。
・各作品がどのように人と社会と時代にむきあったかを確認する。
・松本清張のように「何故だろう」という問いを日々の生活にむける。

講義概要

松本清張がこの混乱の時代に大々的に復活しています。松本清張は、人と社会の暗い秘密をさぐりあて、それを暴露し、告発しつづけました。松本清張の社会派ミステリーは、わたしたちに人と社会の暗い秘密を見抜く方法を教えてくれます。ゆたかで重厚、スリリングであたたかい、「隠蔽と暴露」の作家松本清張の世界を、今回は『砂漠の塩』、『渡された場面』、『十万分の一の偶然』など名高い作品で辿ります。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 05/14 シャッターチャンスは偶然か――『十万分の一の偶然』を精読する 夜間の東名高速で発生した車の玉突き衝突事故。それをとらえたアマチュアカメラマンの写真「激突」は、A新聞のニュース写真コンテストで年間最高賞に選ばれた。カメラというメディアが生みだす「事件」を追う。
2 05/21 どこで、なぜ妻は死んだのか――『聞かなかった場所』を精読する 農林省の係長浅井恒雄は、出張先の神戸で妻英子の死を知った。坂道を上りながら浅井は、心臓が弱く坂道嫌いの英子が当日、「どうしてこの通りを歩いていたのか」と思う。前に一度も聞いたことのない場所だった。
3 05/28 わるいやつらの破滅――『強き蟻』を精読する タイトルは、俳人西東三鬼の「墓の前強き蟻ゐて奔走す」からくる。三十歳ほど年上の夫信弘の遺産を狙う伊佐子は「悪女」だが、はびこる男尊女卑と闘うその姿に、テレビドラマで演じた米倉涼子はつよく魅せられる。
4 06/04 小説の一場面に事件の真相が――『渡された場面』を精読する 四国の県警捜査一課長香春銀作は文学好きで、文芸誌を読むのが楽しみだった。ある時開いた同人誌評に紹介された作品に驚く。そこには、実際に起きた殺人事件の現場付近が克明に描かれていた。再捜査が始まる。
5 06/11 愛しあう二人は砂漠をめざした――『砂漠の塩』を精読する 松本清張の得意とする「暗い恋愛」作品の傑作中の傑作。既婚の康子と、幼馴染みの真吉がともに死を決意して、ヨーロッパに渡り、バクダッドの砂漠を目指す。死へと向かう旅は、二人の生が暗く輝く終わりの旅となる。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆テキスト指定はしませんが、文庫本が手に入りましたらぜひそれぞれの作品を読んでおいてください。

備考

◆3/8(金) 13:30より本講座の無料体験会を早稲田校で実施します。
◆体験会お申し込みはこちらから。
https://www.wuext.waseda.jp/course/detail/63074/

講師紹介

高橋 敏夫
早稲田大学名誉教授、文芸評論家
1952年香川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、同大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。早稲田大学文学部・大学院文学研究科教授を経て、現在、早稲田大学名誉教授。日本近現代文学研究。『松本清張 「隠蔽と暴露」の作家』(集英社新書)、『藤沢周平 負を生きる物語』(同)、『井上ひさし 希望としての笑い』(角川新書)、佐高信との長篇対談など多くの著作がある。
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