ジャンル くらしと健康

早稲田校

脳と体の老化を抑制する実践的な方法 最新の老化研究からの具体的な提案

  • 冬講座

佐藤 拓己(東京工科大学教授)

曜日 土曜日
時間 10:40~12:10
日程 全8回 ・01月11日 ~ 03月01日
(日程詳細)
01/11, 01/18, 01/25, 02/01, 02/08, 02/15, 02/22, 03/01
コード 140610
定員 30名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 23,760
ビジター価格 受講料 ¥ 27,324

目標

・脳の老化を抑制するための基本的なコンセプトを理解する。
・ヒトの巨大な脳を維持するためにエネルギーを理解する。
・ケトン体を少しだけでも増やせば、認知機能が向上することを理解する。

講義概要

脳は体重の2%を占めるに過ぎないが、エネルギーの20%以上を消費している。脳は他のどの臓器よりもエネルギーを消費する組織であるが、そのほとんどが神経細胞によって消費されている。最近認知症やうつ病の基本的な原因の一つが、この神経細胞のエネルギー不足であることが示されている。最も有効な対策は、エネルギー不足に留まっている時に手を打つことで、神経細胞が機能を停止してからでは手遅れになる可能性が高い。日常生活で何ができるのか?インスリンやケトン体をキーワードに述べてみたい。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 01/11 脳のエネルギー問題 ヒトの脳は、個性あふれるキャラクターたちがひしめき合っていて、魔法の世界にも匹敵する摩訶不思議な現実を形成しています。その魅力あふれる彼らの世界と、その住人たちを順々に紹介していきます。またキャラクターたちに即して、脳を老化から防ぐ基本的な方法などをお話させていただきます。
2 01/18 ヒトの脳エネルギーシステム 「わたしがわたしである理由」を考えたことはありますか? その実体についてひとつだけ確かなことがわかっています。その理由を考えているのは、「わたしの脳」だということです。脳はいつも何かを考えています。何かを考えている脳は、常に大量のエネルギーを使っています。脳のエネルギーをキーワードに脳を見ていきます。ケトン体が脳のエネルギーの基本的な要素であることも述べてみたい。
3 01/25 認知症フリー社会へのコミットメント あなたの脳はいつも何かを考えています。ヒトの脳は、過去と現在と未来を区別し、「連続性」を可能にしているのです。年をとるとこの過去と現在の連続性がゆるみ、だんだんと「不連続」になっていくのだと思います。ケトン体は認知機能を維持するための決め手になる可能性を秘めています。新しい記憶を保持するための、ケトン体を増加させるための脳のエネルギー問題への取り組みをお話します。
4 02/01 インスリンは老化ホルモンか? ヒトはなぜ老化するのでしょう。これは昔から多くの人が考えてきたことです。「インスリンが老化を促進させる実体である」という学説が1993年に発表され、講師は大きな衝撃を受けたことを覚えています。この「インスリン学説」が老化研究の中心となっています。今回はインスリンというホルモンについて、老化における役割を考察していきます。
5 02/08 健康長寿を達成するためのエネルギーシステム 脳の老化を遅れさせるにはどのようなことが可能か?動物の寿命研究だけでは分からないことがたくさんあります。そこで実際に元気で長生きした人々の話を交えながら、その中で脳の老化を検討します。ヒトの老化を抑制するにはどうするべきかを考えてみましょう。多分皆さんの多くが一番興味を持っている話題ではないかと思います。
6 02/15 難病から救う脳エネルギーシステム 皆さんはてんかんという病気を聞いたことがあるでしょう。てんかんはまさしく脳のエネルギー問題なのです。ヒトの脳において、情報が一か所に集中する場所が「錐体細胞」です。錐体細胞は自ら安全装置をもっていますが、ところがてんかんの方はこの安全装置をうまく起動できません。難病を解決するための脳のエネルギーからの具体的な方策を述べてみたいと思います。
7 02/22 ヒトの脳と体はなぜ老いるのか? 脳を若く保つという課題は、結局どうすれば体と心をなぜ20歳のままの姿で生活できないのか?という問題に突き当たります。人類はこの課題を数千年前から考え続けてきたが、未だ明確な解答を得ていません。脳と体の老化を人類がどのように考えてきたかについて、実生活に役立つお話をします。
8 03/01 肥満と脳の不思議な関係 最近の研究によれば、脳の老化と肥満はインスリンというキーワードを導入すれば密接な関係があることがわかってきました。特に北米や欧州などにおいて、肥満が今までにない勢いで増加し、歴史の中で経験したことのないような体型の変化をもたらし、多くの医学での問題をつくりだしています。これらの問題を解決するために、まず何から始めるべきなのかを最新学説を紹介しながら説明します。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆本講座は2023年度冬学期に開講した同講師の講座の内容と重複する場合がありますが、内容は刷新されています。
◆講座の進度によって、講義予定が前後する場合があります。
◆脳の老化を抑制するために脳を理解しようとする心構えを持って、ご参加いただけると幸いです。
◆テキストについて、講義では第1章から第6章までを扱うので、対応するところを予めお読みいただくと理解が深まります。
◆講義中の質問は大歓迎です。また、教室にレジュメとともに質問用紙をご用意いたしますので、講師へご提出いただいても結構です。

テキスト

テキスト
『脳の寿命を延ばす「脳エネルギー」革命 ブドウ糖神話の崩壊とケトン体の奇跡』(光文社)(ISBN:978-4334045647)

講師紹介

佐藤 拓己
東京工科大学教授
岩手県一関市生まれ。博士(医学、京都大学)。専門分野は神経科学、アンチエイジング科学。大学では食によるアンチアンチエイジングを目指して、脳をブドウ糖とケトン体のハイブリッドで起動することを提案。最近ヒト胎児の脳の成長に羊水中のケトン体が必要であることを発見した。光文社「脳エネルギー革命」(2021年)の著者。
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