ジャンル 人間の探求

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脳と機械をつなぐ ブレイン-マシン・インタフェースと脳科学

  • 秋講座

櫻井 芳雄(京都大学名誉教授)

曜日 金曜日
時間 13:00~14:30
日程 全6回 ・11月08日 ~ 12月13日
(日程詳細)
11/08, 11/15, 11/22, 11/29, 12/06, 12/13
コード 730502
定員 30名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 17,820
ビジター価格 受講料 ¥ 20,493

目標

・ブレイン-マシン・インタフェース(BMI)について理解する
・BMIの臨床応用と課題について脳の疾患や障害と共に理解する
・BMIが示す脳の特性について運動や感覚の仕組と共に理解する

講義概要

現代の脳科学が関わる重要テーマである「脳と機械をつなぐシステム」すなわちブレイン-マシン・インタフェース(BMI)に焦点を当て解説します。BMIの本格的研究は20年以上前から始まっており、脳で機械を操作したり、逆に機械で脳を操作するシステムなどが研究され、医療や介護現場での活用が期待されています。同時に、機械とつながった脳の活動や変化に注目することで、「脳とはどういうものか」も明らかになってきました。本講座では、BMIという高度なシステムと、そこからわかる脳の特性について、運動、感覚、脳機能障害などのメカニズムの説明も加えながら、また多くの実験映像やデータも示しながら、わかりやすく解説します。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 11/08 ブレイン−マシン・インタフェースとは何か 私達の脳は、身体という入出力器官を介し、身の回りの多くの機械と作用し合っています。一方、身体を介さず脳と機械を直接つなぎ相互作用させるシステムも2000年頃に登場しており、それをブレイン−マシン・インタフェース(BMI)と呼びます。第1回では、BMI研究の歴史と現状について、特に脳の活動で機械を動かす運動出力型BMIを中心に、代表的な研究例を紹介しながら解説します。
2 11/15 臨床応用を試みる 運動出力型BMIは、その研究の当初から、人間への応用が試みられてきました。例えば、脊椎損傷で四肢が麻痺した患者さんが、BMIにより脳の活動だけでロボットハンドを動かしたりコンピュータを操作できたという報告も少なくありません。第2回では、そのようなBMIの臨床応用の進展と現状、そして問題点と今後の課題について、運動の脳内メカニズムと共に解説します。
3 11/22 脳活動を操作する BMIには、機械の出力を脳に送ることで、つまり機械で脳を刺激することでその活動を変えたり操作したりする直接操作型BMIもあります。その元となる脳内刺激実験の歴史は古く、現在の直接操作型BMIは、そのような研究の延長上に登場しました。第3回では、直接操作型BMIによるパーキンソン病やうつ病などの改善について、それら運動障害や精神疾患を引き起こす脳内メカニズムと共に解説します。
4 11/29 脳機能を増強する 直接操作型BMIは、医療だけでなく、ふだんの脳の機能を増強(エンハンスメント)するために使われることもあります。また運動出力型BMIも、脳の活動や機能を自ら変えるために使われることがあり、それをニューラルオペラントやニューロフィードバックと呼びます。第4回では、それらの方法と研究例について解説し、また、脳エンハンスメントと社会の高齢化や格差との関係についても考えてみます。
5 12/06 感覚を取り戻す BMIには、機械の信号を脳あるいは脳の入力部へ送ることで様々な感覚を生じさせる感覚入力型BMIもあります。特に脳の損傷や入力部の変性などで感覚を失った人たちにとって、感覚入力型BMIは大きな助けとなります。第5回では、人工内耳のように臨床応用が確立したシステムや、人工視覚や人工体性感覚など研究途上のシステムについて、聴覚、視覚、体性感覚の脳内メカニズムと共に解説します。
6 12/13 さらなる活用をめざし誤解を正す BMIが進展すれば、社会の多くの場面で活用することも可能です。例えば、危険な災害現場での捜索、あるいは宇宙空間や他の惑星における作業などで使えるかもしれません。第6回では、そのような将来期待されるBMIの活用法について考えてみます。また、BMIに関する過剰な期待や誇張された宣伝から生じる様々な誤解についても、脳に関する多くの迷信と共に解説します。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆休講が発生した場合の補講日は12月20日(金)を予定しております。
◆Zoomウェビナーを使用したオンライン講座です。
◆お申込みの前に必ず「オンラインでのご受講にあたって」をご確認ください。
◆お申込みいただいた有料講座の動画は、当該講座実施の翌々日(休業日を除く)17:30 までに公開します。インターネット上で 1 週間のご視聴が可能です。視聴方法は、以下をご確認ください。
【会員】授業動画の視聴方法(会員向け)
【ビジター・法人会員】授業動画の視聴方法(ビジター・法人会員向け)

講師紹介

櫻井 芳雄
京都大学名誉教授
京都大学大学院文学研究科博士課程中退。広島大学総合科学部助手、富山大学医学部助教授、生理学研究所客員助教授(併任)、京都大学文学研究科教授、同志社大学脳科学研究科教授などを歴任。専門は行動神経科学。医学博士。主な著書に『脳と機械をつないでみたら』(岩波書店)などがある。2023年出版の『まちがえる脳』(岩波新書)で第77回毎日出版文化賞を受賞。
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