ジャンル 文学の心

オンデマンド

【オンデマンド】『源氏物語』を読み直す―「桐壺」巻

  • 秋講座

高橋 麻織(椙山女学園大学准教授)

コード 930102
定員 25名
単位数
会員価格 受講料 ¥ 15,840
ビジター価格 受講料 ¥ 15,840

目標

・『源氏物語』「桐壺」巻を、平安時代の歴史を踏まえて読み直す
・平安時代の貴族社会の常識(政治・制度・習慣)について理解する

講義概要

『源氏物語』の首巻である「桐壺」巻には、主人公・光源氏の誕生が描かれています。主人公のルーツを語るのは、古代の物語の原則だからです。光源氏の両親である桐壺帝と桐壺更衣の物語、異母兄・一の皇子との立太子争い、「帝王の相」を有しながら臣籍降下したこと、父の后妃である藤壺の宮の存在など、長編物語の幕開けにふさわしい様々な仕掛けがあります。平安時代の歴史を踏まえつつ、これらひとつひとつを丁寧に読み解いていきます。

各回の講義予定

講座内容
1 光源氏の誕生 主人公光源氏の誕生場面を読む。生母・桐壺更衣の身分は、平安時代の後宮ではさほど高くはない。にも関わらず、帝からの寵愛を一身に受けたため、他の后妃からは嫉妬され、世間からは非難された。右大臣家の女御が生んだ一の皇子の存在が明かされ、立太子争いへと話は進む。
2 桐壺更衣の死 光源氏が三歳の年、袴着の儀が執り行われた。その夏、桐壺更衣は病気になる。輦車の宣旨を受け、内裏から退出する際、更衣は「かぎりとて別るる道の悲しきに…」という歌を詠じ、退出の後、息を引き取った。この更衣の辞世の歌を読み解く。
3 桐壺更衣の葬送 更衣の母北の方は悲しみに沈みつつ、葬送に参列する。帝からは「三位追贈」の使者が遣わされた。その際、「女御とだに言わせずなりぬるがあかず口惜しう」という帝の心情が明かされる。桐壺の更衣を女御に昇格させようとしていた帝の狙いとは何か。
4 北の方の嘆き 帝の使者として、靫負命婦が桐壺更衣の邸を訪れる。北の方は、更衣入内の経緯について説明する中で、故按察大納言の遺言の存在を明かした。その遺言は、帝も承知していることだという。桐壺更衣の入内の謎とは何だったのか。
5 桐壺帝の嘆き 靫負命婦が内裏に戻り、北の方とのやり取りを帝に報告する。帝と更衣の物語は、「長恨歌の御絵」「絵に描ける楊貴妃の容貌」と、楊貴妃の物語に重ねられている。帝の「たづねゆくまぼろしもがなつてにても」という歌は、『源氏物語』後半で意味を持つ。
6 高麗の相人の予言 一の皇子が東宮に立てられ、立太子争いは決着した。一方、高麗の相人の「帝王の相」という観相により、帝は光源氏を臣籍降下させる。潜在王権を有する主人公は、どのようにして「帝王の相」を実現するのか。これは、物語最大の謎である。
7 藤壺の宮の入内 帝の後宮に藤壺の宮が入内する。先帝の四の宮という高貴な身分であった。光源氏は母桐壺更衣に似ていると噂される藤壺の宮を密かに慕うようになる。世間の人は、この美しい二人を「光る君」「かかやく日の宮」と並び称した。
8 光源氏の元服と結婚 光源氏の元服の儀が、宮中で盛大に行われる。光源氏は左大臣家の一人娘葵の上と結婚した。左右大臣家は並び立つ権門であり、左大臣を後見に光源氏は政治家として歩み始める。しかし、光源氏は叶わぬ恋でありながら、藤壺の宮を一途に想い続ける。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆視聴期間は一般申込開始(2024/08/27)から学期終了翌月末(2025/01/31)までになります。一般申込開始(2024/08/27)以降はお申し込みいただけましたら視聴可能になります。
◆この講座は
2024年度 春期 「『源氏物語』を読み直す―「桐壺」巻」 (04/15〜06/17 月曜日、全8回)
で開講した講座のアーカイブ講座になります。
◆途中映像音声の乱れるところがありますがご了承ください。
◆オンデマンド講座のため講義内容に関する質疑は受付けいたしかねます。あらかじめご了承お願いいたします。

講師紹介

高橋 麻織
椙山女学園大学准教授
岐阜県生まれ。博士(文学)。専門分野は、平安時代の文学作品。著書『源氏物語の政治学―史実・准拠・歴史物語―』(笠間書院、2016年)、第19回紫式部学術賞(2018年)受賞、第14回全国大学国語国文学会賞(2019年)受賞。
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