ジャンル 日本の歴史と文化
オンデマンド
【オンデマンド】日本文化形成史―アジア各国との交流を通して
河野 貴美子(早稲田大学教授)
コード | 930205 |
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定員 | 25名 |
単位数 | − |
会員価格 | 受講料 ¥ 11,880 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 11,880 |
目標
・日本文化史およびアジア文化史に対する理解を深める。
・日本文化の形成を文献資料やモノから読み解く力を身につける。
・古代日本の対外交流史に対する理解を深める。
講義概要
日本文化とは一体どのように形成されてきたものなのでしょうか。
日本文化は、たとえば、文字、ことば、思想、宗教から各種のモノ、技芸に至るまで、いずれもアジア各国とのさまざまな交流を通して形成され、展開してきたといえます。遣隋使や遣唐使らの活動にとどまらず、古代日本は、大陸との交渉をさまざまなレベルで繰り返し重ね、いわばきわめて「国際的」な秩序の中で国家・社会の仕組みや文化の枠組みを構築していったのでした。本講座は、奈良時代、平安時代を主な対象として、日本文化形成の諸相を、特にアジア各国との交流関係に焦点をしぼり、たどっていくことにします。
各回の講義予定
回 | 講座内容 | |
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1 | 遣唐使がもたらしたもの | 航海の危険に命をさらしても大陸を目指した遣唐使たちは、何を任務として、日本の文化形成にいかなる貢献を果たしたのでしょう。第一回講義では、遣唐使の時代に唐からもたらされたモノのうち、大陸の先進文化を載せるメディアとしての書籍にスポットを当てて、漢籍の伝来が日本文化の形成に与えた影響の大きさをみます。 |
2 | 漢字文化の受容と展開 | 日本はそもそも何ゆえ漢字を用いるようになったでしょうか。それは、古代の人びとが東アジア漢字漢文文化圏に参加することを選択したからに他ならず、あるいはそう選択せざるを得なかったからに他なりません。そしてその選択は、今に至るまで日本語を規定し、日本語を用いる人びとの思考に大きな影響を与えています。第二回講義では、文字を書くという営みが、奈良・平安期の人びとによっていかに行われ、いかに意識されたものであったのかを、正倉院の宝物や空海の事績などとともにたどります。 |
3 | 古代東アジアの外交秩序 | 八世紀から九世紀にかけて、古代日本にとっての外交の相手は唐や新羅だけではなく、もっとも緊密に交流を重ねた相手は実は渤海でした。第三回の講義では、日本と渤海との間で取り交わされた贈答品や交易品、また、外交の場で開催された宴席での応酬詩や両国の外交文書などを通して、日本古代の文化と文学を東アジアの視点から見直します。 |
4 | 唐物の伝来 | 大陸からもたらされたさまざまなモノは、いわゆる唐物(からもの)として日本の文化を刺激し、また日本文化の一部ともなっていきました。第四回の講義では、唐物の中から特に文具に注目し、文学を生み出すモノの世界を通して、アジアとの交流の跡をみるとともに、輸入品に対する意識や、文字や文の読み書きという文化的営為に対する価値観を探ってみます。 |
5 | 宗教文化の形成 | 日本の文化を考える際、仏教の位置付けはきわめて大きく、仏への信仰は、神への信仰と相互に関わり影響し合いながら日本の宗教文化を形成しています。第五回の講義では、仏教の伝播というダイナミズムをアジア全体の動きから捉えるとともに、日本における仏教受容の過程と宗教文化の形成について、歴史史料や説話を通して読み解いていきます。 |
6 | 香薬の旅・アジアを行き交うモノ | 奈良・平安時代に日本にもたらされたモノのルーツをたどると、古代アジアには広大な流通ネットワークが展開していたことに気づきます。第六回の講義では、アジアを行き交うモノと、それに関わる人びとの動き、そしてそのモノがもたらす知恵や学問、文化の展開を考察します。具体的には主に舶来品としての香薬に注目して、古代日本の医学書や本草学の世界にも触れます。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆視聴期間は一般申込開始(2024/08/27)から学期終了翌月末(2025/01/31)までになります。一般申込開始(2024/08/27)以降はお申し込みいただけましたら視聴可能になります。
◆この講座は
2024年度 春期 「日本文化形成史―アジア各国との交流を通して」 (04/01〜05/20 月曜日、全6回)
で開講した講座のアーカイブ講座になります。
◆途中映像音声の乱れるところがありますがご了承ください。
◆オンデマンド講座のため講義内容に関する質疑は受付けいたしかねます。あらかじめご了承お願いいたします。
講師紹介
- 河野 貴美子
- 早稲田大学教授
- 博士(文学、早稲田大学)。専門分野は和漢比較文学、和漢古文献研究。中国の学術・文化の日本および東アジアへの伝播の諸相に関心をもち研究に取り組んでいる。著書に『日本霊異記と中国の伝承』(勉誠社、1996年)、共編著に『日本「文」学史』全三冊(勉誠出版、2015〜2019年)などがある。