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オンデマンド
【オンデマンド】エジプト学概論 古代エジプトのファラオ
近藤 二郎(早稲田大学名誉教授)
コード | 930301 |
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定員 | 25名 |
単位数 | − |
会員価格 | 受講料 ¥ 19,800 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 19,800 |
目標
・古代エジプト古王国時代・第1中間期・中王国時代初期のファラオの特徴と役割を明らかにする。
・古代エジプト古王国時代から中王国時代初期のファラオを選び、王権の変化を考えていく。
・「中間期」という時代区分名称を再考察し、その問題点を明らかにする。
講義概要
古代エジプトのファラオの歴史の中で、古王国時代から中王国時代初期に至る古代エジプト史を概観する。巨大ピラミッドが建造された古王国第4王朝時代からピラミッドの規模が徐々に小さくなり、王権は大きく変化していく。第5王朝になるとエジプト各地の豪族が中央官吏と結びつくことで州侯として台頭するようになる。第1中間期の分裂と混乱の中で、上エジプト第4ノモスのテーベの州侯がエジプト全土を再統一し、テーベを王都とする中王国が樹立される。古王国時代から中王国時代初期のファラオの性格と特徴を政治拠点の移動などを参考にして考えていく。
各回の講義予定
回 | 講座内容 | |
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1 | 古代エジプトの時代区分(古王国時代〜中王国時代)について | 古代エジプト史における古王国時代(第4〜第8王朝)から第1中間期、中王国時代について詳しく概観し、最新の時代区分と実年代について説明していく。 |
2 | 第4王朝シェプセスカフ王とマスタバ・ファラウン | スネフェル王を初代とする第4王朝は、クフ・カフラー・メンカウラー王の3大ピラミッドがギザ台地に建造された後、シェプセスカフ王は独特な形状の「マスタバ・ファラウン」という埋葬施設を南サッカラに造営している。第4王朝末期の様相を概観していく。王の埋葬施設であるマスタバ・ファラウンとは何かを詳しく説明しながら、第4王朝の終焉を考えていく。 |
3 | 第5王朝初代ウセルカフ王とピラミッド | 第5王朝初代のウセルカフ王は、どのようなファラオであったかを考える。階段ピラミッドの近くに建造されたウセルカフ王のピラミッドの特徴を詳しく見ていく。第4王朝と第5王朝との相違について具体的に説明していく。 |
4 | 第5王朝の太陽神殿 | 第5王朝のファラオたちは、自身のピラミッドとは別に太陽神殿を持っていたとされる。しかしながら、これまでに第5王朝のファラオで太陽神殿の存在が知られているものは、わずかにウセルカフ王とニウセルラー王の2基だけである。文字記録では6人の王の太陽神殿が記載されているが、実際にはどうであったかを再検討する。太陽神殿の構造と機能に関しても説明していく。 |
5 | 第5王朝最後の支配者ウニス(ウナス)王 | 第5王朝の最後のファラオであるウニス王のピラミッド内部に初めて「ピラミッド・テキスト」が刻された。サッカラにあるウニス王のピラミッドの構造を確認しながら、、ピラミッド内部に刻された「ピラミッド・テキスト」とは、どのようなものであるのかを詳しく解説していく。 |
6 | 第6王朝時代のエジプト | 第6王朝初代のテティ王のピラミッドと高官墓の位置と構造について考察する。またペピ1世、メルエンプタハ王の時代には、上エジプトの多くのノモスで墓地の造営が盛んになる。中央と地方の動向について検討しながら、王都メンフィスだけではなく各ノモスにおける地方豪族の台頭に関して考えていく。 |
7 | 第6王朝ペピ2世と「ニトクリス」 | 第6王朝のペピ2世は、60年を超える長期のもっていたが、王の晩年には王権の急速な弱体化がおこったとされている。ペピ2世の死後に即位した「ニトクリス」とされる短命の支配者に関して再検討してみたい。かつては第6王朝までを古王国時代としていたことの意味についても考察したい。古王国時代の初期の第4王朝と後期の第6王朝との間の政治体制や王権に関して比較検討する。 |
8 | 第7王朝と第8王朝 | 第6王朝の後の第7王朝に関しては短期間に多くの支配者が興亡した混乱の時代として捉えられてきたが、現在では、「第7王朝」の存在は否定されている。マネトンの『エジプト史』を読み解きながら第7王朝の問題を再検討していく。また、現在では古王国時代は第8王朝までを含む時代とされている。その根拠についても具体的な例をあげながら説明していく。 |
9 | 第9・第10王朝と第11王朝(ヘラクレオポリス侯とテーベ侯):「第1中間期」という時代 | メンフィスに拠点を置いた第8王朝が滅亡するとエジプトはヘラクレオポリスを拠点とする第9・第10王朝とテーベを拠点とする第11王朝の二大勢力が対峙する「第1中間期」となる。エジプト学で広く使用される「中間期」という時代区分名称の問題点についても再検討したい。またヘラクレオポリス侯とテーベ侯についても説明していく。 |
10 | 第11王朝メンチュヘテプ2世による国土の再統一と中王国時代の開始 | 上エジプト第4ノモスのテーベに拠点をもつ第11王朝(テーベ侯)は、次第に勢力を拡大し。メンチュヘテプ2世の時に北のヘラクレオポリスの第10王朝を打倒してエジプトの再統一に成功し、中王国が開始される。メンチュヘテプ2世の治世を詳しく説明していく。また、メンチュヘテプ2世が、テーベ西岸のアル≂ディール・アル≂バハリに建造した王の葬祭複合体についても詳しく解説する。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆視聴期間は一般申込開始(2024/08/27)から学期終了翌月末(2025/01/31)までになります。一般申込開始(2023/08/27)以降はお申し込みいただけましたら視聴可能になります。
◆この講座は
2024年度 春期 「【対面+オンラインのハイブリッド】エジプト学概論」 (04/04〜06/13 木曜日、全10回)
で開講した講座のアーカイブ講座になります。
◆途中映像音声の乱れるところがありますがご了承ください。
◆オンデマンド講座のため講義内容に関する質疑は受付けいたしかねます。あらかじめご了承お願いいたします。
講師紹介
- 近藤 二郎
- 早稲田大学名誉教授
- 東京生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程満期退学。元早稲田大学文学学術院教授。1976年より47年間にわたりエジプト・ルクソール地区の掘調査に従事。専門はエジプト学、天文学史。著書に『ものの始まり50話』(岩波ジュニア新書)、『エジプトの考古学』(同成社)、『ヒエログリフを愉しむ』(集英社新書)、『星座の起源』(誠文堂新光社)、『古代エジプト解剖図鑑』(エクスナレッジ)