ジャンル 世界を知る

早稲田校

アジア史とつながる中国全史

  • 春講座

岡本 隆司(早稲田大学教授、京都府立大学名誉教授)

曜日 金曜日
時間 10:40~12:10
日程 全10回 ・04月04日 ~ 06月13日
(日程詳細)
04/04, 04/11, 04/18, 04/25, 05/09, 05/16, 05/23, 05/30, 06/06, 06/13
コード 110312
定員 33名
単位数 2
会員価格 受講料 ¥ 29,700
ビジター価格 受講料 ¥ 34,155

目標

・中国史を世界史・アジア史という広い文脈からみなおす。

講義概要

ユーラシア大陸の遊牧と農耕の境界で、交易と文明が発祥した。その東方・東アジアで早くから文明を発達させ、国家を形成したのが中国である。その後、気候変動を経て、独自の国家体制と社会構成を構築していった。14世紀と17世紀の世界史的な「危機」、そして19世紀以降の世界史的近代と切り結んで、現代の中国につながる国家を形成した。中国史はアジア史・世界史抜きではなりたたない。その古代から現在までを一望していきたい。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 04/04 アジア史と中国―ユーラシアの地域構造と古代文明 ユーラシアの生態環境は乾燥vs湿潤=草原遊牧vs農耕定住から成り立っており、これがアジア史の主要舞台となる。その地域構造が二元世界のダイナミズムを形づくり、とりわけ境界地帯が重要である。その典型として東アジア=中国が位置づけられる。遊牧と農耕の境界地帯=シルクロードでは都市国家が発展し、東端の黄河文明もやはり同じであった。そこから春秋戦国の「邑制国家」がはじまり、「中華」概念の成立、「外夷」・匈奴との対峙、秦漢帝国への発展を導く。
2 04/11 アジア史の転換―気候変動と中国史 西暦2世紀ころから北半球の気候は寒冷化に向かい、古代文明・古代帝国を成り立たせた前提が通用しなくなる。やがてそうした状況が顕在化して、寒冷化による遊牧民の移動・南下による古代帝国の解体と分立をへて、三国六朝の政権分立の時期を迎える。統治体系・社会構造の再編を模索する試行錯誤が乱世を誘発する歴史となった。
3 04/18 中国史の展開―隋唐帝国とその解体 久しく分立をきたしていた中国大陸は6世紀末から7世紀にかけて、ふたたび統合に向かった。王朝名でいえば北朝から隋唐への歴史である。南北分立から南北分業へという全般的な流れのなかに、隋の煬帝・唐の太宗の事跡を中心に、乱世を克服したシステムの構築とその条件、すなわち律令制の本質と半島・列島の国家形成、および西方・シルクロード世界との関係をみたうえで、8世紀半ばの安史の乱を契機とする東アジアの多元化の加速に転じる。
4 04/25 唐宋変革―アジア史の大転換 9世紀から11世紀におよぶ「唐宋変革」とよばれる歴史事象を講じる。東洋史学の根幹をなす歴史の転換であり、東西の多元化と社会経済の発展を多方面からつぶさにとりあげて、気候が温暖化に転じたユーラシア全域での経済発展と政体の変化を論じ、分業と共存の趨勢を指摘する。
5 05/09 モンゴル時代―アジア史の集大成 「唐宋変革」に乗じてあらわれた政治史的な現象「五代十国」「澶淵体制」などの多国共存体制に着眼し、また草原世界の隆替にも論及して、ユーラシア規模の変動を俯瞰する。やがて13世紀にユーラシア全域を陸海に覆ったモンゴル帝国の建設と全盛にまで説き及んで、アジア史の展開の本質をあらためて把握する。
6 05/16 アジア史から世界史へ―シルクロードとポスト・モンゴル 「14世紀の危機」・寒冷化と疫病蔓延にともなうモンゴル帝国の崩潰からシルクロード・内陸アジアの地盤沈下、西欧の勃興と大航海時代による海洋世界の発展を概論する。東西ユーラシアが分離して、東アジア内部も解体し、モンゴルから独立した明朝が成立する。中央アジアにモンゴル帝国を継承したティムール朝が興起したものの短命におわる。後継したオスマン・サファヴィー・ムガルはすべて海に向いた帝国で、シルクロード・中央アジアの地盤沈下と海洋の勢威増大を物語る。
7 05/23 アジア史から世界史へ―ポスト・モンゴルと大航海時代 モンゴルの後を承けたシルクロードのティムール朝とともに繁栄したのは、つながる地中海のイタリア・ルネサンスだった。やがてその文化・技術を自家薬籠中の物とした西欧が興起し、大航海時代を通じた環大西洋経済圏の成立と世界システム=世界経済の構築がはじまる。
8 05/30 明代の転換―ポストモンゴルの東アジア 東アジアの明朝の興亡を中心に、大転換する東アジア世界の16世紀までの様相を描き出す。明朝の貿易統制・反商業=現物主義・農本主義という寒冷化に対応する体制は、以後の中国に甚大な影響をあたえた。経済が回復する15世紀には、その矛盾が明らかになり、南方の経済が発展すると、政府権力と民間社会の矛盾と乖離が拡がっていき、地域間分業と商業化の趨勢のなかで、政府の制度・体制は形骸化し、内外の治安の悪化を招くようになる。
9 06/06 海外貿易と対外危機―北虜南倭から明清交替へ 16世紀以降、18世紀までの東アジアの推移を論じ、その歴史的意義をとらえなおす。長城と海禁によって貿易統制を布いていた明朝の体制は、16世紀半ばに破綻が露呈した。北のモンゴル・南の倭寇ということで、「北虜南倭」という。こうした経済動向が政治対立に転じたのが、明朝の滅亡と清朝の興起、つまり明清交替である。社会の多元化を深めた東アジアはその各勢力がいかに共存するかが課題となっていた。明朝の体制では不可能だったその課題を、清朝の統治が解決して平和と繁栄を実現する。しかしそれも世界経済の動向に左右される構造だった。
10 06/13 近代・現代―中国革命とは何か 以上、18世紀までの東アジアの展開を受けて、19世紀以降の近現代を概論する。産業革命・市民革命を果たした欧米の勢力は世界に冠絶し、東アジアもその洗礼を受けざるを得なかった。世界市場の一環と位置づけられることで景気変動を免れず、内憂外患を誘発した。アヘン戦争・太平天国である。さらに第二次産業革命の化学工業・金融資本の勃興によって帝国主義の脅威に直面する。その先兵がいち早く西洋化を果たした日本であり、中国はその「衝撃」を受けて、国民国家・国民経済の形成に着手するものの、従前の体制との乖離/矛盾を解決しきれないまま、21世紀を迎えている。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆本講座は、2024年度夏学期に開講した同講師の講座と内容が重複しますが、回数を増やして新たな知見を加えてお話しします。

テキスト

テキスト
『世界史とつなげて学ぶ中国全史』(東洋経済新報社)(ISBN:978-4492062128)

講師紹介

岡本 隆司
早稲田大学教授、京都府立大学名誉教授
京都市生まれ。博士(文学、京都大学)。専門分野は東洋史学、近代アジア史。宮崎大学教育学部講師、同大学教育文化学部助教授、京都府立大学文学部教授を経て現職。中国を中心としたアジア史を西洋近代の関係から、政治外交・社会経済とひろい視野で解き明かす。主著に『近代中国と海関』(大平正芳記念賞受賞)、『属国と自主のあいだ』(サントリー学芸賞受賞)、『中国の誕生』(樫山純三賞、アジア太平洋賞受賞)、『世界史序説』、『中国史とつなげて学ぶ日本全史』、『「中国」の形成』、『明代とは何か』、『悪党たちの中華帝国』、『物語 江南の歴史』などがある。
  • 外国語 コースレベル選択の目安
  • 広報誌「早稲田の杜」
  • オープンカレッジ友の店