ジャンル 文学の心
オンデマンド
【オンデマンド】京都をめぐる古典文学と歴史の旅 『枕草子』や『源氏物語』などの舞台をのぞく
荒木 浩(国際日本文化研究センター教授・総合研究大学院大学教授)
コード | 910103 |
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定員 | 25名 |
単位数 | − |
会員価格 | 受講料 ¥ 19,800 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 19,800 |
目標
・古文の読解力をあらためて身につける。
・日本古典文学の時代とその背景、京都の舞台を知り、現代と結ぶ。
・公開されているデジタル資料の活用を学ぶ。
講義概要
本講座では、清少納言、紫式部、藤原道長などが活躍した平安時代の文学史を彩る古典作品を軸に、その世界をたどります。
かつて担当した京都新聞「文遊回廊」から生まれた著書『京都古典文学めぐり』をもとに、作品の一節を取り上げ、現代語訳を示して丁寧に読み、関連する絵巻などの画像資料も紹介しながら、登場人物の横顔や、舞台となった京都の地名や寺社のゆかりをさぐっていきます。
読解に際しては、スマホでもたどれるネットのデジタル環境を活用しつつ、日本古典文学の世界と魅力を現代によみがえらせ、古代から中世の歴史・文学の世界をのぞき込みながら、世界中で共有できる、日本古典文化の精華を楽しみたいと思います。
各回の講義予定
回 | 講座内容 | |
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1 | 古典文学で京都をめぐる――その始まりと『竹取物語』 | 最初に本講座の概要を紹介します。そして『京都古典文学めぐり』の内容にも触れながら、物語の先祖と『源氏物語』が呼んだ、『竹取物語』の一節を読んでいきます。 |
2 | 弥生のつごもりという季節――『源氏物語』と『方丈記』 | 『京都古典文学めぐり』では、京都の案内人として鴨長明が適任だ、と設定しました。『方丈記』が書き終えられたのは旧暦三月の「つごもりころ」。まったく同じ季節に『源氏物語』若紫巻は始まります。その舞台か、と想定される鞍馬寺も覗いてみましょう。 |
3 | 道祖神と盗人――説話が語る平安京の闇 | 華やかな『源氏物語』の都では、盗人が暗躍し、また僧侶が和泉式部と同衾した暁に、不思議な神が姿を現したりします。芥川龍之介が愛読した「説話」と呼ばれる文献を読んで、京都の空間の深さと闇を体感します。 |
4 | 文学史をたどる――『古今和歌集』と『伊勢物語』 | ここであらためて文学史をたどり、最初の勅撰集『古今和歌集』を読み、同じ話を伝える『伊勢物語』も併読します。高安の女、河原院という舞台など、長く読み継がれる文学的地名も登場します。 |
5 | 『源氏物語』の成立と古典の日 | 『源氏物語』が初めて文献にその名を刻印した日として、十一月一日が「古典の日」と定められました。その根拠となった『紫式部日記』を読みながら、『源氏物語』をめぐる環境などにも触れたいと思います。 |
6 | 幸福なる出会いと結末――『うつほ物語』から | 『源氏物語』より古い長編物語『うつほ物語』の始まり、『今昔物語集』に描かれた山科の勧修寺縁起、『古今著聞集』の石清水八幡宮説話などに、印象的でよく似た男女の出会いが描かれています。それらを読んで、連想をつなぎます。 |
7 | 『蜻蛉日記』をめぐる信仰・夢と政治 | 1000年以上も前に、『蜻蛉日記』という優れた女性の日記が書かれ、『和泉式部日記』以下に続く。世界に誇れる文学的達成です。そこには「夢」も描かれており、政治とのつながりもあって、関連の説話を併読していくと、古代の平安京が浮かび上がります。 |
8 | 『枕草子』と神社――上賀茂神社と伏見稲荷 | 『枕草子』の魅力を考えます。ここでは、意外に面白い、清少納言の神社参詣をめぐるエピソードから読んでみましょう。私は「グルーヴ」という言葉を連想しました。 |
9 | 冬の望月と藤原道長 | よく知られた、道長の「このよをば」の和歌の背景を独自に読み解きます。そして貴族の晩年、ということを考えながら、道長の投影もある、『源氏物語』の光源氏の退場にも触れたいと思います。 |
10 | どうぞ私に物語を!――『更級日記』という画期 | まるで紫式部からバトンを渡されたかのように、1008年生まれの『更級日記』の作者は東国で『源氏物語』の噂を聞き、やがて都でひたすら読書に没頭します。その物語愛読は、夢と相俟って、彼女の信仰をつむいでいきます。平安時代文学史のとじ目としても、とても大事な人物です。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆視聴期間は一般申込開始(2025/3/4)から学期終了翌月末(2025/7/31)までになります。一般申込開始(2025/3/4)以降はお申し込みいただけましたら視聴可能になります。
◆この講座は
2024年度 秋期 「京都をめぐる古典文学と歴史の旅」 (10/01〜12/10 火曜日、全10回)
で開講した講座のアーカイブ講座になります。
◆途中映像音声の乱れるところがありますがご了承ください。
◆オンデマンド講座のため講義内容に関する質疑は受付けいたしかねます。あらかじめご了承お願いいたします。
講師紹介
- 荒木 浩
- 国際日本文化研究センター教授・総合研究大学院大学教授
- 専門は古典を中心とする日本文学。博士(文学、京都大学)。大阪大学大学院教授を経て、2010年4月より現職。海外の大学での研究や客員教授などを通じて、国際的視点からの日本研究も目指す。最近の著作に『方丈記を読む』(法蔵館文庫、『京都古典文学めぐり』(岩波書店)、『古典の中の地球儀』(NTT出版)他がある。