ジャンル 現代社会と科学
早稲田校
数学史の世界―芸術との関係について
坂口 勝彦(早稲田大学講師)
曜日 | 水曜日 |
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時間 | 13:10~14:40 |
日程 |
全5回
・07月23日 ~
08月27日 (日程詳細) 07/23, 07/30, 08/06, 08/20, 08/27 |
コード | 120718 |
定員 | 30名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 14,850 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 17,077 |
目標
・どのような問題を解決するために数学が生まれてきたのかを知る。
・リアルな絵画とアブストラクトな絵画を捉える新しい視点を得る。
・数学という技術がいかに文化に緊密に関係しているかを理解する。
講義概要
数学と芸術は、これまでの歴史の中で幾度も接点を持ってきました。デューラーには数学の著作がいくつかありますし、キュビストのグループにはキュビスムを数学的に解読する数学者がいました。数学の歴史を振り返って、絵画や音楽などで数学者が関わった重要な事例をいくつかピックアップして概説します。アートが数学を活用するだけではなく、アートで必要な技術として新しい数学が生まれたことも幾度もあります。アートを広く技術とみれば、占星術という技術にも数学者が大きく関わっていました。数学の歴史とアートとの意外な親密さをひもといていきたいと思います。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 07/23 | 数学史と占星術の話 | 最初に数学の歴史を概観します。古代ギリシャの幾何学、イスラーム世界の代数、それらがルネサンスからデカルトの頃にひとつになります。そのルネサンスの頃、多くの数学者が占星術師として働いていました。数学者=占星術師はいったいどのような仕事をしていたのか、それを探ります。 |
2 | 07/30 | 音律の話 | バッハの『平均律』の「平均律」の意味や意義は、誤解も含めて広く知られています。ドレミファソラシドはどのように決められてきたのか。実は音律の決定も数学者の仕事のひとつでした。でもそこにはとても悩ましい問題が潜んでいて、多くの数学者を悩ませ、また新しいアイデアを生み出すきっかけにもなっていました。 |
3 | 08/06 | 遠近法の話 | ルネサンスの遠近法を開発したアーティストの多くは数学者でもありました。ダ・ヴィンチ、ピエロ・デラ・フランチェスカ、デューラー等。「見えるままに」描くには数学が必要だったのです。さらに、「加速された遠近法」とも言われるアナモルフォーズへとバロック的に歪んでゆく様子も見ていきます。 |
4 | 08/20 | 四次元の話 | 四次元というとドラえもんを思い出しますが、19世紀に生まれた四次元という新しい数学的対象は、数学という狭い世界を飛び出して、多くのアーティストや思想家に刺激を与えました。宮澤賢治もその一人です。さらに、カンディンスキー、モンドリアン、デュシャン等の「抽象」は、四次元との関係で見直すと、具体的な対象として見えてきます。 |
5 | 08/27 | ルイス・キャロルの話 | 『不思議の国のアリス』や『鏡の国のアリス』を書いたルイス・キャロルは、オックスフォード大学の数学の講師でした。確かに随所に数学的なナンセンスが埋め込まれているのがわかります。さらには、アリスの話という巨大なナンセンスを生み出した数学者はいったい何を考え、何をしていたのか、それを探ってみたいと思います。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆難しい数学の知識は必要ありません。
講師紹介
- 坂口 勝彦
- 早稲田大学講師
- 早稲田大学講師。東京大学理学系研究科科学史・科学基礎論博士課程満期退学。東京外国語大学、明治学院大学等にて「数学史」「科学史」「倫理」等を担当。現在早稲田大学にて、「数学史」及び「数学と文化史」担当中。共著に、『原典 ルネサンス自然科学』(池上俊一監修、名古屋大学出版会、2017)等。