ジャンル 文学の心
早稲田校
『土佐日記』を読む
田畑 千恵子(元早稲田大学講師)
曜日 | 火曜日 |
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時間 | 10:40~12:10 |
日程 |
全10回
・09月30日 ~
12月02日 (日程詳細) 09/30, 10/07, 10/14, 10/21, 10/28, 11/04, 11/11, 11/18, 11/25, 12/02 |
コード | 130111 |
定員 | 30名 |
単位数 | 2 |
会員価格 | 受講料 ¥ 29,700 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 34,155 |
目標
・作品の内容を読み味わうとともに、和歌や散文の表現の中に織り込まれた「言葉遊び」の要素や歌人である作者の表現へのこだわりに注目する。
・作者の実体験そのものではない、文学作品としての虚構の要素にも目を向ける。
・その後に成立した女流日記への影響について知る。
・和歌の修辞法について理解を深める。
講義概要
「男もすなる日記といふものを女もしてみむとてするなり」という、作者を女性に仮託した有名な冒頭文ではじまる『土佐日記』は、『古今和歌集』の撰者でもある歌人紀貫之が、土佐の国司の任を終えて帰京する際の旅の日記で、仮名で書かれた最初の日記作品として知られています。五十五日にも及ぶ困難な船旅での様々な人間模様や、土佐で亡くなった幼い娘への哀惜の思いなどがつづられています。また、在原業平や阿倍仲麻呂などの著名な故事にも言及があります。今回の講座では、本文を丁寧に読解するとともに、『貫之集』所収の和歌なども紹介しながら全編を読み通します。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 09/30 | ※以下の予定は、講義の進行状況によって、多少、変更することがあります。 ○日記文学というジャンルについて解説。 ○作品と作者について概説。 ○冒頭部分。 |
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2 | 10/07 | ○送別の宴(後任の守との贈答歌)。 ○出航。 ○亡き娘への思い。 |
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3 | 10/14 | ○浦戸から大湊へ。 ○一月一日から七日の記事(土佐在住の女性との贈答歌、「田舎歌仙」の和歌と幼い子の返歌)。 |
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4 | 10/21 | ○一月八日の記事(海に沈む月と、在原業平の古歌。「羽根」という地での幼い子の歌)。 | |
5 | 10/28 | ○一月十日から十七日の記事(漢詩を下敷きにした和歌)。 | |
6 | 11/04 | ○二十日の夜の月と、阿倍仲麻呂の故事。 ○二十一日から二十八日の記事(海賊への恐れなど)。 |
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7 | 11/11 | ○二十九日から二月四日の記事(亡き娘への思いと「忘れ貝」の歌)。 | |
8 | 11/18 | ○二月五日から六日の記事(和泉国、住吉など)。 | |
9 | 11/25 | ○二月七日以降の記事(淀川を遡る。渚の院と在原業平・惟喬親王の故事)。 | |
10 | 12/02 | ○二月十日から帰宅まで。 (荒れ果てた我が家に生える「小松」と亡き娘への思い)。 ○末尾の文。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆2019年秋学期の同名講座と、ほぼ重なる内容です。
◆テキストは、『貫之集』も収録されているものとして下記のものを指定しました。『土佐日記』の全文が収録されている他の注釈書を既にお持ちの場合は、それでもかまいません。
テキスト
テキスト
『新潮日本古典集成 土佐日記 貫之集』(新潮社)(ISBN:978-4106203800)『土佐日記』の全文が収録されている他の注釈書を既にお持ちの場合は、それでもかまいません。
講師紹介
- 田畑 千恵子
- 元早稲田大学講師
- 早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得。専門分野は平安時代の散文(『枕草子』・日記文学)。早稲田大学及び複数の大学で学部生の指導を担当してきた。主要論文「枕草子『かへる年の二月二十余日』の段の位相」(『日本文学研究資料新集 四』有精堂)、「枕草子日記的章段の方法」(『中古文学』36号)など。