ジャンル 文学の心

早稲田校

江戸怪異文芸の世界―百物語、化物絵本、怪談劇

  • 夏講座

近藤 瑞木(東京都立大学教授)

曜日 金曜日
時間 10:40~12:10
日程 全6回 ・07月24日 ~ 09月11日
(日程詳細)
07/24, 07/31, 08/21, 08/28, 09/04, 09/11
コード 120128
定員 30名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 17,820
ビジター価格 受講料 ¥ 20,493

目標

江戸時代の文芸と文化について理解を赤める。

講義概要

昨今、連続テレビ小説「ばけばけ」の影響で小泉八雲の怪談作品が注目を集めていますが、実は八雲の怪談の元ネタの多くは江戸時代に市販されていた怪談書です。
本講座は、近世のさまざまなジャンルの怪異文芸の魅力を味わいながら、江戸時代の思想と文化について理解を深めるものです。『雨月物語』のようなメジャーな作品もとりあげますが、むしろ活字化されていない作品や『筑前化物絵巻』のような最新の資料によって、近世怪異文芸の知られざる側面に光を当てるマニアな講座です。主に活字テキストと映像資料を用いて講義を進めますが、架蔵の珍しい原物資料なども用いる予定です。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 07/24 近世の怪談流行とその特徴 本講座の概論。近世(江戸時代)における怪談流行の背景、中世とは異なる近世怪談の特徴、どういう種類の話柄が多いのか、怪異の文芸的表現の技法、怪異文芸がどのように受容されていたか、文芸としてどのように評価されるか、など。
2 07/31 近世の幽霊  「野暮と化物は箱根の先」ということわざに象徴されるように、近世都市の生活空間において「化物」のリアリティは希薄になったが、逆に人間関係のあつれきより生じる恨み・つらみの問題は多く、そこに「幽霊ばなし」がはびこることになった。とりわけ幽霊ばなしの中でも「皿屋敷」型の下女ばなし(手討ちにされた下女が主家に祟る)は、封建制度下における「弱者の抵抗」の文芸として意味づけられてきたが、本講座ではまた別の角度から幽霊ばなしの近世的性格を捉えてみたい。
3 08/21 繋がる百物語  「百物語」とは、夜中人々が集まって灯心百筋をともし、怪談を一話語るごとに灯心を一本ずつ消して行き、最後の一本を消したときに妖怪が現われるという、呪術性を帯びた語りの習俗である。怪談流行の江戸時代において、それは怪談ばなしを収集、流通させる「場」でもあった。百物語の起源、方式、百物語怪談書との関係、怪談文化史上の意義などについて。
4 08/28 鳥山石燕の妖怪画 狩野派の町絵師鳥山石燕が描いた四部の妖怪画集は水木しげるの妖怪漫画などを介して現代に至るまで、日本人の妖怪イメージに多大なる影響を与えている。本講義では雅俗論や言語遊戯性、摺刷技法などの側面から石燕妖怪画の特色を説明し、その芸術的価値や妖怪文化史上の意義について講義する。また石燕中心の妖怪画観を相対化する同時代の妖怪表象もとりあげたい。
5 09/04 化物黄表紙の笑い 「黄表紙」とは江戸中後期の小型絵本形態の滑稽文芸であるが、その中には「化物」をモチーフにした一群が存する。都会の通人を目指す黄表紙の化物たちの姿は涙ぐましく、微笑ましい。本授業では江戸戯作の「見立て」、「うがち」、「ムダ」といった笑いの技法や、化物黄表紙に特徴的な人間社会のパロディやデフォルメなどの表現について解説しつつ、恋川春町や山東京伝などの化物黄表紙を味わう。
6 09/11 歌舞伎の怪談もの 歌舞伎は江戸時代において最もポピュラーな娯楽文化であり、四谷怪談や累のように歌舞伎化されたことでメジャーになった怪談も少なくない。それは観客に「怪異」を擬似体験させる装置であり、歌舞伎の怪談を考える際には役者や音楽、ケレンなどの視点も欠かせない。第6回は歌舞伎の怪談に特徴的な幽霊演出や幽霊役者の演技、また歌舞伎の怪談作者として著名な四世鶴屋南北作品の特異性などについて講義する。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆授業中のスマホ撮影、録音禁止(ノートの使用はかまいません)。

講師紹介

近藤 瑞木
東京都立大学教授
神奈川県生まれ。博士(文学、東京都立大学)。専門分野は日本近世文学。編著書に、『百鬼繚乱-江戸怪談・妖怪絵本集成』(国書刊行会、2002)、『江戸の怪談-近世怪異文芸論考』(文学通信、2024)、『筑前化物絵巻』(河出書房新社、2025)など。
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