ジャンル 文学の心

早稲田校

今あらためての漢詩鑑賞・読解講座 日本漢詩から読み解く唐詩鑑賞

  • 夏講座

樋口 敦士(狭山ヶ丘高等学校教諭)

曜日 土曜日
時間 15:05~16:35
日程 全6回 ・07月11日 ~ 08月29日
(日程詳細)
07/11, 07/18, 07/25, 08/01, 08/22, 08/29
コード 120110
定員 30名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 17,820
ビジター価格 受講料 ¥ 20,493

目標

・具体的な唐詩の作品鑑賞及びわが国で数多く作られた日本漢詩の受容状況を知ることができる。
・平仄や韻目など漢詩創作における基本的なルールを押さえることができる。

講義概要

漢詩と言えば一般的に中国の古典作品を指すものと考えられる一方で、その影響下で成立した日本漢詩には注目されることはほとんどありません。ただ、日本漢詩は奈良時代以降に千三百年以上の歴史を持っており、わが国の伝統文学でもあったことは念頭においておきたいところです。本講座では現役の高校教員の立場から中高の授業でも取りあげられる唐詩の鑑賞ポイントを踏まえつつ、その影響下によって作られた日本漢詩作品についての考察を深めます。また、漢詩創作者として基本的な漢詩創作のルールについても触れながら、創作の楽しみについても語ります。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 07/11 張継「楓橋夜泊」考―最も愛された日本漢詩― わが国で最も愛好された張継の七言絶句「楓橋夜泊」を取りあげて、その影響下において成立した日本漢詩を鑑賞する。当該詩は「旅愁」を詠み込んだものであるため、様々な名所の中に見立てられた。五山時代・江戸時代・明治時代における各時代ごとの翻案詩に触れつつ、その作品の特性について鑑賞する。
2 07/18 李白「白帝城」考―郷土教材的な観点に注目して― 李白の七言絶句「白帝城」は長江三峡下りの爽快感を詠み込んだものである。江戸時代には尾張犬山城と木曾川下りが当該詩に見立てられたが、江戸時代の日本漢詩においてはむしろ杜甫の「秋興八首」などに取材した七言律詩として表現されたものも多く、必ずしも木曾川が直接詠み込まれたものではなかった。大正期に入って木曾川下りがドイツの「ライン川」に見立てられたことで、郷土教材の意識が芽生えた状況について触れたい。
3 07/25 杜甫「春望」考―芭蕉の受容態度に注目して― 「国破れて山河在り」で知られる杜甫の七言律詩「春望」は、現在「首聯」の一節が大変有名であるが、芭蕉以前においてはむしろ「頷聯」の方が重視されていた事実がある。この点にも着目しながら、俳聖芭蕉が詩聖杜甫の当該詩からどのような受容態度で臨んだのかを考察する。
4 08/01 詠史詩「藺相如」考―複数の史的観点をめぐって― わが国において歴史故事を詠み込んだ「詠史詩」は数多く作られた。それは和漢どちらの歴史故事も詠史の対象となった。本講座では特に史伝教材「完璧帰趙」と「刎頸之交」で有名な「藺相如」を取りあげて鑑賞する。複数の視点から詠み込まれたものを取りあげることで、歴史の多角的な視点にも言及したい。
5 08/22 白居易「香炉峰」考―清少納言"対雪捲簾"故事に注目して― 『枕草子』第二百八十段「雪のいと高う降りたるを」は清少納言の白居易受容をうかがわせる重要な一節として有名である。従来「香炉峰の雪いかならむ」は中宮定子と清少納言とのやり取りと言われていたが、それ以外にも諸説ある点に注目することができる。本講座ではさらに清少納言の《対雪捲簾》故事は漢詩文にもよく詠まれたことから、和漢の文脈観の違いにも触れる。
6 08/29 「名勝詩」考―観光資源としての日本漢詩― 海外からの年間インバウンド観光客が1000万人を越えた国際的観光都市である京都市には現在十七箇所もの世界遺産が存在する。一つ一つの建築物は歴史の重みがあり、この風景を詠み込んだ名勝詩は江戸時代以降多く作られた点に注目したい。本講座では具体的な史跡と漢詩作品を取りあげながら漢詩文化がわが国で溶け込まれていった経緯などについて触れる。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆各漢詩の平仄や韻目を実際に調べることがあるため、漢和辞典(書籍でも電子辞書でもかまわない)をお持ちください。

講師紹介

樋口 敦士
狭山ヶ丘高等学校教諭
狭山ヶ丘高等学校教諭。学生時代は近世(江戸)文学を専攻し、教職に就いてからは国語教育に照らした漢文教育の研究につとめる。これまで多くの教材や問題集の執筆にも携わる一方で、勤務校では有志の生徒に漢詩創作指導にも取り組む。伊藤園おーいお茶新俳句大賞ユニーク賞・諸橋轍次博士記念全国漢詩大会秀作賞受賞。単著に『故事成語教材考』(文学通信 2023年8月)、『定番漢詩教材考』(文学通信 2025年6月)がある。
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