ジャンル 人間の探求

中野校

時間を生きる―『存在と時間』からのハイデガー入門

  • 夏講座

西山 達也(早稲田大学教授)

曜日 月曜日
時間 13:10~14:40
日程 全6回 ・07月13日 ~ 08月31日
(日程詳細)
07/13, 07/27, 08/03, 08/17, 08/24, 08/31
コード 320506
定員 24名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 17,820
ビジター価格 受講料 ¥ 20,493

目標

・ハイデガー存在論の基礎を把握する。
・「時間」を哲学的に問うことがいかなる意義をもつのかを理解する。
・『存在と時間』の内容とその現代性を吟味する。

講義概要

私たちは日常において、しばしば時計という道具によって想像されるような時間を気にかけながら生きています。しかし、時間は単なる計測の対象にとどまりません。ある時は瞬く間に過ぎ、ある時は引き延ばされるように感じられる。時間管理に窮屈さを覚え、そこからの解放を願うこともあります。マルティン・ハイデガーは、その主著『存在と時間』において、時間を人間(現存在)の存在構造そのものに内在する契機として捉え、自己と世界の理解の根底をなすものとして論じています。没後50年の節目にあたり、本講座ではハイデガーの時間論を手がかりに、人間がいかに自己と世界を開示しつつ〈時間を生きる〉のかという存在論的問いに迫ります。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 07/13 イントロダクション:時間を生きる、時間を語る 「時間」は古来、哲学の根本問題であり続けてきました。その問いをあらためて根底から問い直したのが、マルティン・ハイデガーです。初回は、時間という観点から「存在」を捉え直そうとしたその大胆な企てを概観します。あわせて、彼が着目した「カイロス」という時間概念や、いわゆる「生の哲学」(ベルクソン、ディルタイ、ジンメル)との対比を通じて、問題の所在を明らかにします。
2 07/27 人間だけが時間を生きるのか?:人間学と存在論 ひとは過去を回顧し、未来を予測しながら、現在を生きています。このような行動のあり方は人間独特のものと言えるのでしょうか。ハイデガーは同時代の「哲学的人間学」(ゲーレン、シェーラー、プレスナー)の思想潮流や先史人類学、動物行動学の進展と深くかかわった議論を展開します。こうした同時代の文脈に置きなおしながらハイデガーの時間論の特徴を探ります。
3 08/03 道具存在の生み出す時間性 私たちは技術的対象や道具に囲まれ、それらを使いこなし、時には技術や道具に使われながら日常を生きています。ハイデガーは日常世界における人間存在(現存在)のあり方を分析するにあたって、まずは「道具」の分析を試みますが、『存在と時間』における有名なこの議論のなかに潜んでいる時間性を解明するとともに、より広く、技術的世界の時間構造にも視野を広げます。
4 08/17 情動と言語の時間性 『存在と時間』第29–34節においては情動と言語の問題が論じられます。ハイデガーが、情動と言語を、被投・企投・現在化という時間構造に対応させながらいかにして記述しているかを解き明かします。
5 08/24 死へとかかわる存在と有限性 〈存在の意味を時間において問う〉ことを企てる『存在と時間』の論述において、「死」と「有限性」をめぐる議論は中心的な役割を果たすとともに、数々の難問を提起します。レヴィナス、デリダ、ヨナスらによる再解釈(批判的継承)も参照しつつ、ハイデガーの残した課題がどのようなものであったのかを考えます。
6 08/31 「時は長い」:ポスト形而上学的時間について 詩において、私たちは、言葉を媒介としつつ韻律やリズムを通じて時間を数えるということをおこないます。第6回講義では、ハイデガーが詩人フリードリヒ・ヘルダーリンの「時は長い」という詩句を手掛かりにして、〈待つこと〉の経験としての時間を捉え直した思索をたどります。

講師紹介

西山 達也
早稲田大学教授
ストラスブール大学大学院博士課程修了。専門はハイデガーを中心とした現代ドイツ・フランス哲学。著書に『共生の現代哲学』(共著)、『洞窟の経験 : ラスコー壁画とイメージの起源をめぐって』(共著) など。訳書として『貧しさ』(ハイデガー/ラクー=ラバルト/ヘルダーリン)、『翻訳について』(ジョン・サリス著)、『イメージの奥底で』(ジャン=リュック・ナンシー著)などがある。
  • 外国語 コースレベル選択の目安
  • 広報誌「早稲田の杜」
  • オープンカレッジ友の店