ジャンル 日本の歴史と文化
早稲田校
縄文時代の新たな学説と論争
高橋 龍三郎(早稲田大学名誉教授)
| 曜日 | 月曜日 |
|---|---|
| 時間 | 13:10~14:40 |
| 日程 |
全10回
・09月28日 ~
12月14日 (日程詳細) 09/28, 10/05, 10/19, 10/26, 11/02, 11/09, 11/16, 11/30, 12/07, 12/14 |
| コード | 130209 |
| 定員 | 30名 |
| 単位数 | 2 |
| 会員価格 | 受講料 ¥ 29,700 |
| ビジター価格 | 受講料 ¥ 34,155 |
目標
・縄文時代に関する代表的な学説を紹介し今日的意義について学ぶ。
・学説と論争の時代背景を探る。
・今日の学説が定着するまでの発見の歴史を学ぶ。
講義概要
一般に、縄文時代に関する各種の定説は脆く崩れやすく、新発見によって新たな学説に置き換えられることがしばしばある。考古学は事実の確認、類例の蓄積と検討、その解釈といった階梯を踏んで結論に達するが、いずれも重要な手続きである。換言すればそのいずれを欠いても成立は難しい。特に解釈には主観が入りやすく、多くの検証を必要とする。講義では縄文時代の生業や文化、社会に関する諸説を紹介し、学説の意義を解説すると同時に課題について検討する。
各回の講義予定
| 回 | 日程 | 講座内容 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 09/28 | 縄文文化・縄文人の起源をめぐる論争と課題 | 明治、大正、昭和の各時代を通じて、縄文文化と縄文人の起源をめぐる議論は多くの関心を呼んだ。最古の縄文文化を探る手続きをふみ、また途中で縄文人の形質的特徴を検討しながら起源論は推移した。今日では世界でも最古の部類に属する土器の年代が明らかにされ、土器文化とともにそれを生み出した縄文人の起源系統問題も重要な課題になっている。講義ではそれらを巡る学説について紹介し、今日的な課題について検討する。 |
| 2 | 10/05 | 縄文文化と大陸文化の影響をめぐる論争 | 縄文文化の起源や発達の途中に大陸からの影響があったとする学説は多くの関心を呼んだ。それは昭和初年代から現在においても繰り返されているが、中には相当に信ぴょう性の高い議論もある。講義ではいくつかの遺物を選んで、大陸起源説に関する議論を検討する。 |
| 3 | 10/19 | 縄文時代の編年研究に関する学説 | 日本考古学の年代的枠組みが今日のように整備される過程で、昭和10年代初頭に考古学の科学的方法論が確立された「ミネルヴァ論争」は大変重要な契機となった。論争の概要と結末を明らかにし、当時の学会の思潮と方法論がどのように関わっていたかを検討する。 |
| 4 | 10/26 | 縄文時代の文化と社会を巡る学説 | ミネルヴァ論争と同時代、岐阜県の地域誌『ひだびと』を舞台に展開した「ひだびと論争」は、縄文文化・社会の本質を問う重要な論争であった。当時の学界状況を踏まえて論争の概要を述べ、今日的な意義を検討する。 |
| 5 | 11/02 | 縄文時代の農耕論争 | 縄文時代には初期的な農耕が胚胎していたのではないかとの学説は古くからあった。根茎類や堅果類の栽培の痕跡が追及されたが、必ずしも説得力のある学説ではなかった。しかし、近年、レプリカ法による種子圧痕研究の進展により、あらためて縄文農耕論が注目されるようになった。講義では、それをどう把握し理解したらよいのかについて検討する。 |
| 6 | 11/09 | 縄文時代の生業問題(サケ・マス論争) | 縄文文化研究の大家、山内清男の「サケマス論」は縄文時代の経済だけでなく、縄文社会を論じる際の重要な基礎論であった。その民族誌的、理論背景や考古学的背景を明らかにし、今日のデータ集積や同位体分析などから照射し検討する。 |
| 7 | 11/16 | 縄文集落をめぐる論争と最新の研究 | 最近まで、縄文時代中期の環状集落は主に地縁的な枠組みで検討され縄文文化の中でも最高潮に達した文化段階として理解されてきた。しかし、近年の研究では、それに代わって血縁的な把握の方法が提唱されている。集落の中に何らかの区分原理を見出し、それを社会的、集団的な区分と見做すからである。講義ではそれらの方法の違いを解説し、DNA分析を含めた近年の学説を整理する。 |
| 8 | 11/30 | 縄文人の宗教観 | 縄文時代に芽生えた原始的な宗教は、精霊信仰やシャーマニズムなどが著名であり、それに関する議論が活発に行われてきた。これに呪術や邪術、魔術などを加えて縄文時代の信仰などについて検討する。 |
| 9 | 12/07 | 縄文時代のトーテミズム論 | 縄文時代後期に出現盛行する動物形土製品は、氏族制社会の登場と軌を一にして出現したトーテミズムの表徴である。6種類のトーテム動物種と土製品の出土状況、出土場所、先祖祭祀などとの関連から当時の社会について読み解く。 |
| 10 | 12/14 | 縄文社会の複雑化、階層化過程に関する課題 | 縄文時代はよく「平等社会」だといわれるが、その根拠は何であろうか。その学説の問題点を整理する。最近の理論的研究を踏まえた議論では、平等社会の縄文時代から階層制の発達した弥生時代にいきなりジャンプアップすることは理論的に難しく、途中に複数の階梯が必要であり、社会の複雑化に伴った複数の階層化過程があると考えられるようになった。講義ではこれらの具体的事例の分析と問題点について検討する。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆講義中に参考資料や参考書籍について紹介します。
講師紹介
- 高橋 龍三郎
- 早稲田大学名誉教授
- 1953年長野県生まれ。早稲田大学文学研究科博士後期課程満期退学。現在、早稲田大学文学学術院名誉教授、山梨県立考古博物館館長。専門は先史考古学。主な研究テーマは、縄文社会の複雑化・階層化過程の研究,氏族制社会の成立過程の研究等。著書に、『縄文文化研究の最前線』(単著)、『村落と社会の考古学』(編著)、『科学で読みとく縄文社会』等。




