ジャンル 現代社会と科学

早稲田校

ジャーナリストが語る紛争の深層

  • 秋講座

杉山 文彦(時事総合研究所客員研究員)

曜日 金曜日
時間 15:05~16:35
日程 全10回 ・09月25日 ~ 12月04日
(日程詳細)
09/25, 10/02, 10/09, 10/16, 10/23, 10/30, 11/13, 11/20, 11/27, 12/04
コード 130713
定員 30名
単位数 2
会員価格 受講料 ¥ 29,700
ビジター価格 受講料 ¥ 34,155

目標

・国際ニュースについて理解を深める
・紛争が起きている理由を深く知る
・世界の動きと私たちの生活を結びつけて考える

講義概要

平和な日本にいると忘れがちですが、世界には長年の紛争や対立に悩まされ続けている国や地域が数多くあり、その紛争は私たちの暮らしとも直結しています。例えば最近もアメリカのイラン攻撃によって、日本でも石油の輸入が難しくなり、経済が打撃を受けました。紛争や海外事情を理解しておくことはとても大切です。私は通信社の記者として40カ国以上で取材にあたってきました。本講座ではイランとアメリカの新情勢のほか、パレスチナ、エジプト、パキスタン、アフガニスタン、インド、チベット・ウイグル、ミャンマー、フランスについて、紛争や対立の新たな動向と背景を探ってみたいと思います。
※本講座は過去の同名講座の内容と一部重複しますが、回数を増やし新たな知見を加えて実施いたします。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 09/25 イラン問題の真実と今後 アメリカとイスラエルがイランを攻撃したのを機に、石油の大動脈ホルムズ海峡が封鎖され、石油供給を中東に大きく依存する日本の経済にも深刻な影響が及びました。イランが攻撃された背景には、1979年にパーレビ王制を倒したイラン革命を経て誕生したイスラム体制がアメリカとイスラエルを敵視する一方、自国民を長く抑圧してきた問題があります。取材メモをもとに、イラン現代史の深層を探り、今後の情勢を展望します。
2 10/02 パレスチナ悲劇の原点 イランを攻撃したイスラエルは、パレスチナ自治区ガザも軍事作戦で廃墟にしました。現地では今も悲惨な状況が続いています。パレスチナ紛争の直接の原因は、実は宗教紛争ではなく、ユダヤ人による土地奪取の問題です。1948年のイスラエル建国で住みかを追われたパレスチナ人とその子孫は今や約600万人に上り、父祖の地へ戻ることが極めて難しくなっています。この紛争の歴史を詳細に追いながら、解決策を探ってみたいと思います。
3 10/09 「アラブの春」の混迷 アラブ世界では2010年末にチュニジアを発火点として独裁体制に対する民主化要求運動が広がりました。SNSを駆使した若者たちの怒りが一時的に盛り上がったものの、この地域の多くの国は民主化の理想を実現できないままとなっています。私がかつて4年間住んでいたエジプトでは、独裁政治が復活しました。ペルシャ湾岸のアラブ産油国は今年のイラン戦争で異例の攻撃を受けました。こうした中東の問題の背景を考えてみます。
4 10/16 「イスラムの核」とパキスタン アメリカとイランの戦闘終結に向けて南アジアのイスラム教国パキスタンが急きょ仲介に乗り出し、停戦をまとめました。パキスタンが予想外の役回りを演じたのはなぜなのでしょうか。アメリカ、イランの双方と長年培ったパイプがあったことに加えて、もう一つの重要な要因がイスラム圏で唯一の核保有国としての影響力です。実は問題視されているイランの核開発も、パキスタンの技術がもとになった可能性があります。あまり知られていないパキスタンという国の実情を探ります。
5 10/23 アフガニスタンと過激派の暗躍 2001年9月11日、アメリカで発生した同時多発テロは世界中に未曽有の衝撃を与えました。こうしたテロの源流をたどるとアフガニスタンに行き着きます。このイスラム教国に1979年に侵攻したソ連軍と戦うためにサウジアラビアから現地入りしたウサマ・ビンラディンらが過激化し、1990年代から国際テロが頻発したのです。実は欧米や日本のジャーナリズムは当初、この新たな過激派の台頭の兆候を認識できていませんでした。ビンラディンらが暗躍し、タリバンが復活したこの国の闇を検証します。
6 10/30 巨象インドの抱える悩み 人口世界一となった南アジアの巨象インドは、古くから身分差別を固定化したカースト制の国ですが、そのカーストの頂点に立つバラモンの高度な頭脳によって、世界的なハイテクの国にのし上がりました。一方で、ヒマラヤ西方のカシミールを舞台に、共に核保有国であるパキスタンとの緊張が続き、まかり間違えば核戦争さえ招きかねない状況にも直面しています。アメリカとの関係もこじれ、高関税をかけられました。こうした悩み多きインドの現状をご紹介したいと思います。
7 11/13 紛争に介入するアメリカの実像 アメリカで11月3日、2028年大統領選挙の前哨戦となる中間選挙が実施され、下院435議席すべてと上院の3分の1の35議席が改選されます。トランプ大統領はイランのほか、ベネズエラなど中南米にも介入したり、世界中の国に高関税を吹っ掛けたりと、国際社会に混乱の種をまいてきました。中間選挙の結果をもとに、トランプ政権の動向と今後の世界情勢について分析するとともに、アメリカという人工的な民主主義国家の実像を改めて問い直してみたいと考えています。
8 11/20 チベット・ウイグル弾圧の痕跡 中国の習近平政権が漢民族への同化政策を強め、少数民族のチベット人とウイグル人、モンゴル人に対する弾圧を続けています。チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世が高齢化する中で、その後継者に中国政府の意のままになる人物を選ぼうとしています。ウイグルでは住民多数を強制収容所に送った痕跡があります。こうした中国の抑圧強化は、この国が世界でリーダーシップを取ることの限界を示していると思われます。
9 11/27 ミャンマー軍政の居座りと日本 ミャンマーで2021年にアウンサンスーチー氏率いる民主政権をクーデターで打倒した国軍のミンアウンフライン総司令官が今年4月、民主化を求める国民の悲願を無視して新大統領に就きました。国軍はなお少数民族と民主派が連携した反軍勢力と衝突を続けています。こうした中で日本政府は軍政との「対話」路線を続け、ミャンマーの若い世代から批判を浴び続けてきました。ミャンマーの現状と、日本の対応の課題について探ります。
10 12/04 文化大国フランスの矛盾 フランスには私も3年暮らしました。華やかな文化と芸術で知られるヨーロッパの中心的な国ですが、この国も近年、流血のテロに見舞われることがあります。背景には20世紀後半以降、中東やアフリカから大量に流入してきた民族や宗教の異なる移民が、フランス固有の文化にうまく適合できていない問題があります。最近は極右勢力が台頭し、移民排斥の動きが強まっています。外国人労働者の問題は最近日本でも難しい課題のひとつですが、フランスの状況を知ることは私たちにも参考になると思われます。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆本講座は過去の同名講座の内容と一部重複しますが、回数を増やし新たな知見を加えて実施いたします。

講師紹介

杉山 文彦
時事総合研究所客員研究員
時事通信社のニューデリー特派員、カイロ特派員として、アフガニスタン内戦や中東情勢など途上国の問題を幅広く取材した経験がある。パリ支局長、外信部長、編集局総務、解説委員を務めた。2026年から現職。編著に「世界テロリズム・マップ 憎しみの連鎖を断ち切るには」(平凡社新書)など。
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