ジャンル 現代社会と科学
早稲田校
東アジア経済発展と日本初の経済学者天野為之 グローバルなパースペクティブで、東アジアを考ましょう
池尾 愛子(早稲田大学教授)
| 曜日 | 火曜日 |
|---|---|
| 時間 | 13:10~14:40 |
| 日程 |
全9回
・10月06日 ~
12月08日 (日程詳細) 10/06, 10/13, 10/20, 10/27, 11/10, 11/17, 11/24, 12/01, 12/08 |
| コード | 130712 |
| 定員 | 30名 |
| 単位数 | 1 |
| 会員価格 | 受講料 ¥ 26,730 |
| ビジター価格 | 受講料 ¥ 30,739 |
目標
・東アジアの国際経済機関と政策協力関係に注目して、東アジアに対する理解を深めます
・経済発展のためには技術と技術進歩が大切であることが、東アジアの共通認識になっています
講義概要
東アジア経済の安定と発展には、国連機関や二国間援助のほか、東南アジア諸国連合(ASEAN)、アジア太平洋経済協力(APEC)、アジア開発銀行(ADB)も貢献してきました。1997年の東アジア通貨危機以降、ASEAN+3(日中韓)などでの政策協力や研究連携が図られてきました。アセアン地域フォーラム(ARF)とアジア欧州会合(ASEM)はアジアと欧米をつなぐフォーラムです。経済協力開発機構(OECD、先進国の集まる機関、本部パリ)もASEANなどの中所得国の活動や動静に関心をもっています。明治期の経済学者 天野為之は技術と技術進歩の重要性を認識しました。これは東アジアでの共通認識になっています。
各回の講義予定
| 回 | 日程 | 講座内容 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 10/06 | 東アジア 1960年代から現在まで | 1960年代の東アジア経済はどうみられていたでしょうか。1990年代初頭から東アジアの経済発展は世界から注目されるようになり、1993年に「東アジアの奇跡」と題する世界銀行レポートが刊行されました。1997年後半には通貨危機にみまわれましたが、一部の心配をはねのけて経済は回復し、2020年にアジア開発銀行は『アジアの繁栄への道』を刊行しました。 |
| 2 | 10/13 | 東南アジア諸国連合(1967年設立) | 東南アジア諸国連合(アセアン)は1967年にインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイによって設立されました。その後、ブルネイ、ヴェトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジアが加盟し、そして2025年にティモール・レステ(東ティモール)が新加盟して、11ヶ国になりました。1992年にASEAN自由貿易地域協定(AFTA)が合意され、2008年にアセアン憲章が発効し、2015年末にASEAN共同体が発足しました。 |
| 3 | 10/20 | アジア開発銀行(1966年設立)・アジア太平洋経済協力(1989年会合開始、前史あり)他 | アジア開発銀行は現在の国連アジア太平洋経済社会委員会(当時国連アジア極東経済委員会)の発案により1966年に設立されました。アジア太平洋経済協力会議(APEC)の組織は1989年ですが、その前史にも注目してください。東アジア地域包括的経済連携(RCEP)、アセアン地域フォーラム(ARF)、アジア欧州会合(ASEM)は御存知でしょうか。 |
| 4 | 10/27 | 東アジア通貨危機(1997年後半)と国際通貨基金(IMF)の介入 | 1997年の東アジア通貨・金融危機に際して、3ヶ国が国際通貨基金(IMF)の緊急支援(金融引締め政策と構造改革を条件として)を受けました。IMFの緊急融資条件(コンディショナリティ―)は厳しく批判されました。そしてASEAN+3(日中韓)での政策協力や研究連携が図られるようになりました。カンボジアでは2020年10月に中央銀行デジタル通貨バコン(ブロックチェーン技術利用)が正式に稼働しました。 |
| 5 | 11/10 | 中国の経済改革 | 中華人民民主主義共和国は1949年10月に北京に政府をおいて建国されました。1978年末に中国は改革開放へと舵を切ってまず外国資本(技術)の導入に乗り出します。1992年の鄧小平の南巡講話により、その路線が広く確認されます。2000年に「走出去」(企業を外に行かせる)が中国の国家戦略に位置付けられ、多くの中国企業が勢いよく海外に進出してゆきました。2015年には「中国製造2025」を発表し、先端技術開発をリードすることをうたいました。 |
| 6 | 11/17 | 台湾の経済発展 | 台湾は、1990年頃から新興工業経済の一つとして注目されるようになりました。台湾積体電路製造(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, TSMC)などハイテク企業を育成してきたこともよく知られているでしょう。1949年12月に国民党政府が台湾に移転してからの歴史をみます。 |
| 7 | 11/24 | 韓国の政治経済 | 韓国は1960年代後半に「漢江(ハンガン)の奇跡」と呼ばれる経済成長をとげ、財閥(チェボル)が育ち、1990年代には新興工業経済の一角を占めました。1965年に日韓基本条約を締結、1991年に国連に加盟、1992年に中国と外交関係を樹立しました。1997年に東アジア通貨危機に巻き込まれましたが、これは大統領選の最中のことでした。その後、韓国は経済回復をとげます。 |
| 8 | 12/01 | 天野為之:早稲田大学商学部設立者 日本で最初の経済学者 | 天野為之(1861–1938)は開放政策や貿易の効果に瞠目しました。彼は東京専門学校(早稲田大学の前身)設立者の一人、早稲田大学商科(商学部)の創設者・初代商科長、第二代早稲田大学学長、早稲田実業(早実)の創設者の一人、第二代早実校長で、先駆的・先見の明のある経済学者、経済ジャーナリスト、教育者、政治家、東洋経済新報社経営責任者(社長)でした。天野は、経済人たちが倫理にしたがい、産業の発展を考慮して、合理的行動をとりやすいように制度を整えるべきだと考えていました。天野は、道徳に配慮せずに利益だけを求めるような行動から供給されるものは、需要者によって選択されない、と考えました。 |
| 9 | 12/08 | 東アジアの将来 | 毎年秋には、ASEAN首脳会議やAPECサミット(今年のホスト国は中国、深圳で開催予定)など重要な会議が開催されます。秋の国際情勢を念頭において、東アジアの将来を考察するための材料を点検してゆきましょう。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆皆様と対話するようなスタイルで、授業を進めたいと考えています。毎回、ご質問ご感想を歓迎します。
テキスト
テキスト
池尾愛子『グローバリゼーションがわかる』(創成社)(ISBN:978-4794431790)
講師紹介
- 池尾 愛子
- 早稲田大学教授
- 大阪生まれ。博士(早稲田大学)。専門分野は、日本中心の経済学史。著書に『グローバリゼーションがわかる』(2017年)、『天野為之:日本で最初の経済学者』(2023年)、英文『日本の経済科学史:20世紀における国際化』(2014年; OA、2025年)がある。2008年から東アジア経済科目を担当。




