ジャンル 人間の探求
早稲田校
民藝を哲学する―「いとおしさ」をデザインするこれからの豊かな暮らし
鞍田 崇(明治大学准教授)
| 曜日 | 木曜日 |
|---|---|
| 時間 | 15:05~16:35 |
| 日程 |
全10回
・09月24日 ~
12月10日 (日程詳細) 09/24, 10/01, 10/08, 10/15, 10/22, 10/29, 11/12, 11/19, 11/26, 12/10 |
| コード | 130503 |
| 定員 | 30名 |
| 単位数 | 2 |
| 会員価格 | 受講料 ¥ 29,700 |
| ビジター価格 | 受講料 ¥ 34,155 |
目標
・民藝の世界の広さや深さを知る
・哲学とデザインのつながりを体感する
・身近な生活実感に根差しつつ情感や思考を深める楽しさを知る
講義概要
1926年、ひとつの新しい言葉が誕生しました。「民藝」です。あえてこの言葉が作られたのは、あたりまえすぎて顧みられることがなかった日常、特にそこで使われる道具たちが“再発見”されたからでした。あるべき生活と社会を紡ぎ出していく糸口は最も身近な世界にひそんでいる――民藝誕生はそんな気づきがもたらしたと言うことができるでしょう。ちょうど100年を経た今日、当時とは異なる時代状況のなかであらためて民藝を問う意義もそこにあります。民藝を糸口にこれからの社会と生活のあり方を考えること。すなわち、民藝を哲学すること。それがこの講座のねらいです。
各回の講義予定
| 回 | 日程 | 講座内容 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 09/24 | 民藝と現代|いまなぜ民藝か | 近年の民藝に対する共感の広がりを確認しつつ、現代社会が置かれている状況(情報化、人口減少、ポスト工業化など)との関わりのなかで、民藝にどのような可能性がひそんでいると考えられるのかひもといていきます。 |
| 2 | 10/01 | 民藝と体験|別なる選択肢へ | 「これまでどおりじゃまずいよな」。誰しもふとした機会にそんなふうに思いつつも、何をどうしたらいいのかわからないまま、おうおうにしてせっかくの気づきもウヤムヤになってしまう。そんななか、民藝との出会いは私たちに踏みとどまるきっかけを与えてくれるかもしれません。大事なのはそうした出会いの体験としての意義。講師自身の経験も交えつつお話します。 |
| 3 | 10/08 | 民藝と自然|木を木のままに | 民藝といえば、自然素材になるものというイメージがあります。それは決してまちがいではありませんが、だいじなのは「自然」に対する関わり方が私たちが考えているのとは異なるものだということ。人間の都合にあわせて素材にしたり手段にするのとは異なる自然との関わり方がそこにはあります。昨今のエコロジカルな問題も念頭におきつつ、その点を考えていきます。 |
| 4 | 10/15 | 民藝と文化|声の力 | 自然とのあらたな関わりを提起した民藝は、同時に人間のいとなみ、すなわち「文化」のあるべき姿を問うものでもありました。民藝という言葉が生まれた当時には、民家、民具、民謡といった言葉がつくられもしました。それらが共通して注目した「民」とはなんだったのかを考えていきます。 |
| 5 | 10/22 | 民藝とデザイン|うるおいって? | 民藝は産業革命に対するカウンターカルチャーとして登場したアーツ&クラフツやバウハウスなどのデザインシーンの一つとして理解することもできます。そこで問われた「生活の質」とはなんだったのか考えていきます。 |
| 6 | 10/29 | 民藝と茶の湯|平凡の肯定 | 民藝は侘び茶に象徴される日本の生活美の系譜に連なるものでもあります。日常の中にもっとも大事なものを見出すそのまなざしは禅宗をはじめとする仏教的な視点に裏打ちされたものでもありました。その現代的意義を考えていきます。 |
| 7 | 11/12 | 民藝と生活|用とは何か | 生活の中で使われるものを名指すのが民藝。ときにそれは「用」という視点から説明され、「用の美」の世界とも語られます。それにしても、そもそも用とは何なのでしょうか。その原点を考えます。 |
| 8 | 11/19 | 民藝と生命|生の哲学 | 民藝が注目した生活とは、いわゆるライフスタイルなものにとどまるものではなく、生命のいとなみそのものを問い直すものでした。そうした視点から、近代社会に対する一種の抵抗として登場したのが、ニーチェやベルクソンに代表される「生の哲学」と呼ばれる哲学的試みです。同時代の哲学との関わりから民藝の意義を考えます。 |
| 9 | 11/26 | 民藝とケア|いとおしさ、あるいはインティマシー | 身近な「物」に新たな光を当てた民藝的なまなざしは、現代社会においては、むしろ「人」にも向けていくべきではないでしょうか。そのとき問われてくるのは美を見出すことではなく、労わったり見守ったりする姿勢と言えるでしょう。福祉やケアの現場をふまえつつ、民藝的視点の可能性を問います。 |
| 10 | 12/10 | 民藝と私|我がごととして | 社会にせよ、生活にせよ、どこかリアリティにとぼしく、何か問題があっても、ひとごと、よそごとになりかねない現代社会。民藝との出会いはそんな現状にささやかながらも確実な揺さぶりをもたらし、遠く離れていた日常を我がごととして取り戻すきっかけとなる可能性をひめています。参加者どうしの対話とともにその点をさいごに一緒に考えていきましょう。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆以下の書籍を事前にお読みいただきますと、理解が深まります。※購入は任意です。
-『民藝のインティマシー 「いとおしさ」をデザインする』鞍田崇著(明治大学出版会、ISBN:978-4906811137)
講師紹介
- 鞍田 崇
- 明治大学准教授
- 兵庫県生まれ。博士(京都大学、人間・環境学)。著作に『民藝のインティマシー 「いとおしさ」をデザインする』(明治大学出版会 2015)、『野生の教養Ⅲ 旅する教養/芸術の旅』(共著、法政大学出版局 2026)など。NHK-Eテレ「趣味どきっ!私の好きな民藝」(2018)、NHK-BS「英雄たちの選択〜柳宗悦〜」(2026)にも出演。




