ジャンル 文学の心

中野校

文学にみる自然共生―石牟礼道子『苦海浄土』を中心に

  • 秋講座

結城 正美(青山学院大学教授)

曜日 木曜日
時間 15:05~16:35
日程 全6回 ・10月29日 ~ 12月10日
(日程詳細)
10/29, 11/12, 11/19, 11/26, 12/03, 12/10
コード 330131
定員 24名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 17,820
ビジター価格 受講料 ¥ 20,493

目標

・文学を通して自然共生に関する理解を深める。
・『苦海浄土ーわが水俣病』を多角的に理解する。
・〈環境〉という視座から文学を読む力をつける。

講義概要

今年は水俣病公式確認70年、来年は石牟礼道子生誕100年です。水俣病問題は公害という枠に収まるものではなく、文明および人間のあり方を問うています。そのことを文学的に表現した石牟礼道子『苦海浄土―わが水俣病』を主要テキストとし、本講義では、文学にみる人間と環境の関わり合いを考察します。〈加害 vs. 被害〉の対立構図に収まらない「人間」に向けられた文学的想像力をたどり、人間が環境の一部であることに思考をめぐらせながら、自然共生を具体的に考えていきましょう。※参考書籍として『文学は地球を想像する―エコクリティシズムの挑戦』(岩波新書)をあげておきます。お読みいただくと講義の理解が深まります。

各回の講義予定

回 日程 講座内容
1 10/29 「自然との調和」は自然共生と同じなのか 自然共生は「人間と自然との調和」と言い表されることもあります。それをふまえ、主に次の問いについて考えます。
(1)「自然との調和」を特徴とする日本文化には自然共生が根付いているのか。
(2)「自然との調和」はいつ頃からエコロジカルな意味合いをもち始めたのか。
(3)自然共生とはどういうことなのか。
検討題材として、「生物多様性国家戦略」パンフレットを使用する予定です。
2 11/12 水俣病問題と『苦海浄土』 (1)水俣病問題概観
(2)『苦海浄土』の構成
(3)多様な言葉の使用と水俣病問題の多面性
(4)石牟礼の人物造形と『苦海浄土』特有のフィクション性
3 11/19 海とともにある人びと (1)「わが庭」としての海
(2)「水俣病わかめといえど春の味覚」という文にみる人間と環境の関係
(3)二項対立(陸地/海、自然/人工、加害/被害など)を抱きとるということ
4 11/26 ことばが映す環境観 (1)『苦海浄土』第3章「ゆき女きき書き」精読
(2)水俣病患者の「語り」
(3)創出されねばならなかった方言
5 12/03 〈人間〉の再調整 (1)『苦海浄土』第4章「天の魚」精読
(2)「天のくれらす」魚、商品としての魚
(3)「最後に残された自然」としての人間
6 12/10 共生ー利己が利他になるとき (1)『苦海浄土』とロビン・ウォール・キマラー『植物と叡智の守り人』の比較考察
(2)自然界にみる利己と利他の関係
(3)いのちのみかた

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆参考書籍として『文学は地球を想像するーエコクリティシズムの挑戦』(岩波新書)をあげておきます。お読みいただくと講義の理解が深まります。

テキスト

テキスト
石牟礼道子『苦海浄土ーわが水俣病(新装版)』(講談社文庫)(ISBN:978-4062748155)

講師紹介

結城 正美
青山学院大学教授
金沢大学教員を経て、2020年度より青山学院大学文学部英米文学科教授。フルブライターとして、米国・ネヴァダ大学リノ校大学院に設置された世界初の「文学と環境」プログラムで学ぶ(Ph.D.)。専門分野は、環境文学、アメリカ文学、エコクリティシズム。主な著書に『文学は地球を想像する――エコクリティシズムの挑戦』(岩波新書)、編著書に『モア・ザン・ヒューマンの物語――環境人文学10のシークエンス』(ミネルヴァ書房)、訳書にデイヴィッド・エイブラム著『感応の呪文――〈人間以上の世界〉における知覚と言語』(水声社)などがある。
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